放送部活動記録

「パンエッセン」さん、ありがとう!!

みなさんこんにちは。三郷工業技術高校放送部です。久しぶりの更新になります。2月下旬の学年末テストは無事に(?!)終了しましたが、その後学校は新型コロナウィルス感染症防止のために臨時休校になりました。春休みに入ってからも部活動は実施できない状態が続いています。大変なことになりましたね。皆さん、手洗いやうがいを丁寧に行って予防に努めましょう。

 

  

 

さて、三工技には学食はないのですが、毎日パン屋さんがパン販売をしてくれています。お店を出してくれているのは三郷市早稲田にあるパン屋さん、「パンエッセン」です。販売場所の生徒玄関前に置かれたショウウィンドウには昼休みになると手作りのパンが、多い日には60種類以並びます。お店の前にはお腹をすかせた生徒たちの長い行列が出来てにぎわいます。そのパン屋さんが、3月いっぱいで店じまいすることになりました。とても残念です。放送部では今までお世話になった感謝の気持ちを込めて、朝の放送『おはサン』での特集番組の放送を計画しましたが、学校が臨時休校に入ってしまったため放送が出来なくなってしまいました。放送予定だった番組の内容をwebでレポートしたいと思います。

 

毎日パンの販売をしてくれていた高橋さんと清水さんのお2人にお話を伺いました。お2人とも、もう何年も本校での販売を担当されています。三工技での売れ筋商品はカレーパンです。「カレーは辛口、香ばしくて美味しいですよ。」と清水さん。榎本さんのお話ではコロッケサンドもなかなかだそうです。ベーコンボードとかカラアゲボードも人気があってすぐに売り切れてしまいます。本校は「パンエッセン」が店を出している他の学校に比べると売り上げが多いので、パンも沢山の種類を用意してくれていたそうです。苺カップなどの季節商品も店頭に並びました。

 

  

 

お2人に本校の生徒の印象を伺うと、清水さんからは「みんな可愛くて、とってもいい生徒さんたちですね。この学校の仕事は楽しいです。」と、ありがたいお言葉をいただきましたが、はじめからそういう訳でもなかったそうです。「最初は怖かった・・・」と話してくれたのは榎本さんです。「最初にオープンしたころは大変でした。チャイムが鳴るとね、生徒さんたちがバーッって走ってくるんですよ。大勢が凄い勢いで集まってきてお店が取り囲まれちゃう。それでね、みんなが叫ぶんですよ。『サンドイッチ!!』とか『クリームパン!!』とかね。ホントに押しつぶされちゃうんじゃないかと思いましたね。」このことは当時、生徒会でも問題になりました。そこで生徒会執行部の呼びかけでパン屋さんの前での整列が行われるようになり、今日に至っています。「今ではみんなきちんと並んでくれて助かっています。いい学校ですね、ここは」とにこやかに話してくれました。

 

私たちは三郷市早稲田にある「パンエッセン」のお店にもお邪魔することにしました。「パンエッセン」はJR三郷駅から北口駅前通りを歩いて約15分、三郷早稲田団地に囲まれた静かな一角にあります。お話を聞かせてくださったのは戸坂良夫さん。今年70歳だそうですが、しゃべり方もしっかりされていてとてもそんな高齢には見えません。

 

  

 

お店の歴史について伺いました。戸坂さんが兄弟3人でパン屋を始めたのは今から37年前の昭和58年(1983年)10月でした。「それまでは自動車の部品をつくる工場を経営していました。弟が都内の店で10年間パン屋の修業をして、自分の店を持とうという話になったので、兄弟でパン屋を始めることにしました。」と戸坂さん。立ち上げた会社の名前は「フレール」という名前でした。兄弟とか仲間といった意味のフランス語です。1号店「フレール」は駅のそばにありました。開店時間は朝の6時。当時はまだコンビニエンスストアなどが多くない時代で、朝の早い時間から食べ物を売っているお店は多くありませんでした。出勤途中の若い会社員が立ち寄ってパンを買っていきます。売り上げは上場。当時は今よりも街に若い人が多くて活気があったと戸坂さんは話してくれました。

 

  

 

商売が軌道に乗ってきて、2号店を出すことになりました。それが今の「パンエッセン」です。団地の中のパン屋さんとして賑わいを見せました。そのころには土曜日は学校が半日授業で給食なし。午後に部活がある中学生たちが沢山買いに来て繁盛したそうです。

 

時代の変化がありました。食べ物屋さんもふえたし、コンビニでは24時間パンが買えます。一方で町は子供や若者の数が少なくなってきました。

 

パン屋さんの仕事は大変です。毎日朝2時からパンの仕込みを始めます。開店は朝6時。7時には焼きたてのフランスパンが店頭に並びます。これを目当てに来店される近所のお客さんも少なくないそうです。パンは毎日2回から3回焼きます。種類も豊富で、店頭には100種類以上のパンが並びます。私たち三工技生が知らないパンも沢山あるんだよ!!

 

  

 

その日に売るパンをその日に焼いて店頭に出す「作り置き」が「パンエッセン」のパンの美味しさの理由だったんですね。以前にはこのように毎日お店でパンを焼いている街のパン屋さんが沢山あったそうですが、最近は売り上げの減少に加えてパンを焼く職人さんたちの高齢化により店をたたむところが増えてきているそうです。とても70代には見えない戸坂さんですが、さすがに以前のようには働けないとおっしゃいます。店舗も1つに減らして団地の中の今のお店だけになったので、週に何日かは休みの日を作ることが出来るようになったのですが、それももう難しいということで、今年の3月いっぱいで閉店することになったそうです。

 

毎日私たちのために美味しいパンを焼いてくれた「パンエッセン」の戸坂さん、長い間本当にありがとうございました。パンを売りに来てくださった高橋さんと清水さんもありがとうございました。「パンエッセン」のパン、ホントに美味しかったです。