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第2学期 朝礼 校長講話
みなさん、おはようございます。
校長先生は、7月の下旬に、全国工業高等学校長協会の仕事で、全国の工業高校から選抜された21名の生徒を引率して、ベトナムに行ってきました。今回は簡単に、その報告をしたいと思います。
実はこの高校生海外研修については、1学期に、皆さんからも参加の希望を募りましたが、本校からは希望者が出ませんでした。埼玉県からは、進修館高校の生徒が代表として参加しました。
7泊8日の日程で、初日は成田に前泊し、2日目から4日目までベトナム南部の都市ホーチミンを訪れ、4日目に飛行機でベトナム北部にある首都のハノイに移動し、8日目に帰国するという行程でした。
最初にホーチミンを訪れました。みなさんは、「ベトナム戦争」ということばを聞いたことがあると思います。この戦争が終結し、1976年にベトナム社会主義共和国が建国されるまで、ホーチミンは、ベトナム民主共和国の首都サイゴンとして栄えていました。当時の大統領官邸であった統一会堂を訪れましたが、とても風通しのよいつくりで、暑さをしのぐ工夫が随所に見られました。
3日目は、日系企業訪問ということで、ヤクルトのベトナム工場を訪れました。質疑応答では、日本の高校生から、人件費やベトナム人労働者との意思疎通のはかり方など、経営面に関する質問も話題となっていました。一般的なベトナム人の月給は、日本円で25,000円程度と言われています。物価と人件費は概ね連動するようですが、500mlのペットボトルのコーラを現地のコンビニで購入すると、日本円でおよそ25円でした。日本の5分の1程度の値段で買うことができるようです。その後、「クチトンネル」という、ベトナム戦争当時に掘られたトンネルを訪れました。
4日目は、ベトナム日本人材育成センターというところで、日本語を勉強している現地の学生と交流を行いました。2,3年生の皆さんの中には、昨年11月の、台湾から来た羅東工業高校のみなさんとの交流会を覚えている人も多いと思いますが、あの逆のパターンでおもてなしを受けたといえばわかりやすいかと思います。日本から竹トンボを持って行って、一緒に飛ばして親交を深めました。この後飛行機でハノイに移動しました。
5日目は、ハノイにある工業職業訓練短期大学を訪問しました。「工業」ということで、旋盤やマシニングセンタ、エコカーなど、施設設備はおなじみのものが一通りありましたが、目を引いたのが、自動車のヒュンダイや、スマートフォンのサムスンなど、韓国企業の出資によると思われる新しくきれいな施設でした。午後は、「ブラザー&シスタープログラム」ということで、ハノイ大学の学生を交えた班別研修を行いました。現地の市場での買い物は、価格交渉など、勇気と度胸がいりますが、大学生の支援を得て、生徒たちは頑張って挑戦していました。
6日目は、午前中はハノイ市内の視察研修、午後は、ベトナムで有名なバッチャン焼きの絵付け体験と、水上人形劇の鑑賞体験を行いました。
7日目は、世界遺産に登録されているハロン湾を訪れ、クルーズに乗り込んで湾内の島に上陸し、鍾乳洞を見学しました。
8日目は、午前0時40分にノイバイ国際空港を出発し、台風12号の接近に気を揉みつつ、無事に成田に到着し、解散となりました。
この工業校長協会による高校生海外研修は毎年実施されており、生徒の参加費は3万円ということです。埼玉県からの参加は毎年とはいかないようですが、2年に一度はチャンスがありそうです。1年生の皆さんは、次の機会にぜひ応募してみてください。
今回の海外研修における最も大きな発見は、全国から選抜された工業高校生たちの、目的意識の高さでした。応用情報技術者試験に合格したという生徒は、将来はグローバル企業で、エンジニアとして働きたいという夢を語ってくれました。レスリングをやっているという女子生徒は、帰国後に出場したインターハイで、5位入賞という成果をあげました。
工業高校の生徒はすごい。改めてそう思いました。
ところで、先日、何名かの3年生が、就職試験の面接練習で、校長室に来てくれました。取り急ぎ、その生徒が受験する会社のホームページはすべて目を通しましたが、規模の大きな会社の多くは、本社が東京にありました。本社が東京にある、ということは、同じ入社試験を受ける、ライバルとなる高校生も、東京都や神奈川県など、関東を中心に、全国に広がっているということになります。
先生が高校生海外研修で出会った生徒たちは、選抜されているだけあって、確かに優秀だったのかもしれませんが、ひょっとすると、氷山の一角なのかもしれません。
皆さんも含めて、そもそも、工業高校の生徒たちは、みな優秀です。ということは、3年生が就職試験でライバルとして出会う他県の生徒たちも、みな優秀なのです。1・2年生の皆さんも含め、私たちは今後の就職試験に向け、普通教科の学力はもとより、肝心要の各学科における「学力」を、もっと高めておく必要があると思います。
繰り返しますが、皆さんも優秀ですが、皆さんのライバルとなる他県の工業高校生はもっと優秀です。毎日の授業に、実習に、レポートに、これまで以上に真剣に取り組んでいただきたいと思います。頑張りましょう。
以上で校長講話を終わります。