日誌

第35回入学式 式辞

 桜が咲き競い、若い命が躍動する季節が巡ってまいりました。この春のよき日に、PTA・後援会会長 寺崎 明子様をはじめ、多数のご来賓と保護者各位のご臨席を賜り、かくも盛大に入学式を挙行できますことは、本校関係者一同大きな喜びであります。ご臨席を賜りました皆様に厚く御礼申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。また、保護者の皆様におかれましても、お子様のご入学に対し、心よりお慶び申し上げます。

 本校は先端工業技術を学ぶことを目的として昭和60年に開校して以来、「正確に はやく 美しく」の校訓のもと、生徒たちの力を限界まで引き出し、健康で健全であることはもとより、創造性にあふれ、地域に貢献できる技術者を育成してまいりました。いよいよ本日、皆さんも本校の一員に加わりました。こうした伝統ある学校で学ぶことに誇りと責任を持ち、3年間の生活を送ってほしいと思います。

 さて、本校に入学する新入生の皆さんに、改めて、本校の校訓「正確に はやく 美しく」を紹介したいと思います。

 まず、「正確に」です。これは、コンピュータに由来しています。プログラミングでは、一文字でも間違っていると、正しく動きません。同様に、請け負った仕事を正確に仕上げる習慣が身についていなければ、社会人となったとき、信頼を得ることはできません。正確さで信頼される人材を育てたいという思いが、この「正確に」に込められています。

 次に、「はやく」です。これは、工業技術の進歩が極めて速い、という現状認識に由来しています。この変化の激しい社会の中で生き抜いていくためには、常に創意、発想は豊かに、そして実行は素早くという習慣を学校生活の中に取り入れて、身に付けさせることが必要である、という思いが「はやく」ということばに込められています。なお、この「はやく」には、常に5分前行動の精神で時間厳守、また提出物等の決まりもしっかり守らせたいという思いも含まれています。

 最後に、「美しく」です。これには二つの由来があります。一つは、工業製品は人の心をつかむ必要があり、そこには「美」がなければならない、ということです。本校は工業高校ですから、皆さんには授業を通して、メディアやプログラムを含めたさまざまな「ものづくり」を学んでもらいます。どのようなものであっても、皆さんがつくる「もの」の向こうに、その「もの」を使う「人」が、常に視野に入っている必要があります。人の心をつかむ「もの」は、「美しく」なければならない。言うことは簡単ですが、実際につくるのはやさしいことではありません。しかし本校の校訓「美しく」は、そこまで求めています。ぜひ、本校の3年間で「人の心をつかむ『もの』づくり」に挑戦していただきたいと思います。

 「美しく」のもう一つの由来は、初代校長の和泉 英夫先生が、当時日本一と言われていたある建設会社を訪れた際、現場が常に整理・美化が図られていたことに感銘を受けた、ということにあります。校訓の「美しく」は、ものづくりを学ぶ学校は、常に整理整頓が行き届き、美しく、結果として安全な場でなければならない、という思いも受けたものになっています。

 こうした校訓の精神は、時代を超え、先輩から後輩に受け継がれながら、在校生一人一人の中に、本当にしっかりと生き続けており、学校全体に「正確に はやく 美しく」が浸透し、校風となっていますので、皆さんも先輩に負けずに、学校生活のあらゆる場面で、この校訓を心掛けていただきたいと思います。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねてご入学のお慶びを申し上げます。お子様をここまで立派にお育てになったことに対し、心より敬意を表します。

 本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。必ずや、まだあどけなさが残るお子様を、大人の若者へと成長させることをお約束します。ぜひ学校のことを百パーセント信頼していただくとともに、家庭と学校の風通しをよくしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、ご支援・ご協力をお願いいたします。

 それでは、3年後の卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「三郷工業技術高校に来て本当によかった」と思っていただけることを心から願い、式辞とさせていただきます。

 

平成31年4月8日

埼玉県立三郷工業技術高等学校長

山本 康義