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PTA広報誌『さきがけ』第83号 校長あいさつ
3年生の皆さん、そして3年生の保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。
1月の中下旬には、3年間の工業高校における学びの集大成とも言える「課題研究発表会」が各科で催されました。
18日の電気科の発表会では、イライラ棒や電車に関するものづくりのほか、自然エネルギーや微生物電池を利用した発電への取組が目を引きました。また、バッテリーカーの製作は、EVの普及という時代背景を反映した取組として注目を集めました。
21日の情報電子科の発表会では、学校紹介PV制作班による「工業戦隊5科連ジャー」をモチーフとした動画制作のほか、DTP班による運動部冊子や文化祭パンフレット等の取組も質の高さを感じさせてくれました。
24日の機械科・電子機械科の発表会では、機械科のボルトマンや電子機械科のドローンのほか、全国大会に参加した電子機械科の航空力学やLEGOなど、アクティブな取組も見られました。
28日の情報技術科の発表会では、あえてパソコンを使わないという斬新な発想のイス製作のほか、シューティングゲームの作成では、完成度の高い作品に仕上げていました。
前号の『さきがけ』第82号でも報告したとおり、今年度は特に工業系の部活動が各種全国大会等で優秀な成績を収めており、総じて中心となった3年生個々の高い技術力が反映された、素晴らしい発表会であったと思います。3年生の皆さんは、本校における「卒業研究」ともいうべきこの課題研究の成果をスタートラインとして、今後は、自らが選択した大学や専門学校、企業において、さらに技術を磨くとともに、高い成果を追求していただきたいと思います。
ところで、2月6日付埼玉新聞にも掲載されましたが、4日(月)に、県の事業「学校地域WIN‐WINプロジェクト」の一環として、越谷市のCSリレーションズの増田社長による1年生を対象とした講演会がありました。これから社会に出る3年生にも聞かせたい内容がたくさんありましたので、3年生へのはなむけの気持ちも込めて、いくつか紹介したいと思います。
一つは、「大学生は遊ぶと聞いている。だから就職する自分は、この4年間懸命に働いて大卒に差をつける」という趣旨のことばです。増田氏は高校卒業後就職し、23歳で起業、26歳で再度起業し、現在の会社を立ち上げたということです。期限を切って全力で努力する、というところは、本校の卒業生で、今年現役引退を発表したサッカー元日本代表の中沢佑二選手にも通じるところがあると思います。中沢選手もその著書によりますと、高校卒業後ブラジルに留学し、22歳までにプロになると宣言して、親の理解を得たとありました。社会に出る皆さんにも、期限を切って全力を尽くすというスタンスをお勧めします。また、上級学校へ進む皆さんは、こうした気持ちを持って先に社会で活躍している同級生がいることを忘れずに、学業で成果を挙げていただきたいと思います。
もう一つは、新聞にも掲載されましたが、「つまらない仕事はない。自分がつまらなくしている」ということばです。
「仕事」とは、「人の役に立つこと」ですから、自分の好き・嫌いで選んで取り組むものではありません。多くの場合「やらなければならないこと」として、それぞれの前に現れるのだと思います。これにどう取り組むか。まず、目の前の仕事をどう捉えるか。ネガティブな感情が先に立ってしまうと、仕事がつまらないものになってしまいます。旺盛な好奇心を武器に、どう取り組んだら楽しく仕事ができるか、常に考える姿勢を持ちたいものです。
3年生の皆さん。皆さんが実現したい「夢」は何でしょうか。この「卒業」という機会に、一度ことばにして、宣言してみてはいかがでしょうか。日本では古来「言霊」といって、ことばには魂が宿ると信じられてきました。「ことばにすると実現する」科学的根拠は乏しいのですが、往々にしてこうしたことはあるように思います。3年生の皆さんも、ぜひ、夢はことばにしてみてください。皆さんの成功を祈っています。
結びに、寺崎明子PTA・後援会会長様をはじめ、特に卒業生のPTA理事様、会員の皆様には、昨年の各種研修会における発表のほか、3年間にわたって本校を支えてくださいましてありがとうございました。今後とも、本校の応援団として、お力添えを頂戴できると幸いでございます。