日誌

2018年3月の記事一覧

第3学期終業式 校長講話

 みなさん、おはようございます。

 早いもので、終業式を迎えました。皆さんの3学期はいかがだったでしょうか。

 さて、3学期は進路に関する行事が多くありました。1年生も2年生も進級を控えていますので、将来のことをじっくり考えるよいタイミングなのかなと思います。

 まず、1月25日には、1学年進路講演会がありました。川島真人様を講師にお迎えし、主に「学校生活と仕事とのつながり」についてお話を伺いました。

 2月には、1年生の各学科で、キャリア教育に係る体験活動が行われました。

 情報電子科は2月7日から9日までの3日間、インターンシップを行いました。学科の学習内容に関連する職種ということで、情報電子科の先生方が一軒一軒開拓し、今年は19の企業・学校に受け入れていただくことができました。

 情報技術科は2月7日、「大学・工場見学」ということで、午前中は宮代町にある日本工業大学、午後は久喜市にある株式会社エフテックを、それぞれ訪問しました。

 電子機械科は2月8日、県の「高校生ものづくり最前線体感事業」により、午前中はさいたま市中央区の埼玉機器で工場見学及び部品製作体験、午後は行田市にあるものつくり大学を訪問しました。また、電子機械科の2年生は2月14日、県の「目指せ プロフェッショナル」事業により、埼玉工業大学工学部機械工学科の石原敦教授を講師に招き、電子機械実習の一環として、「本物のロケットの感動」をテーマにハイブリッド・ロケットの製作を体験しました。

 2月15日には、3年生を講師とする「1・2学年対象進路懇談会」が開催され、それぞれの学科の先輩の進路体験を聞きました。進学や公務員を希望する生徒向けの部屋も用意され、貴重な体験談を聞くことができたようです。

 3月15日、16日には進路行事として、1年生は体験型進路ガイダンスとSPI・クレペリン検査、2年生はSPI基礎テストと履歴書指導が、それぞれ行われました。

 このように振り返ってみると、本校のキャリア教育は、学校と地域・社会や産業界等が連携・協働した、体験活動を中心とした取組であることがよくわかります。校長先生は、高校生のころは政治経済の授業の影響で、漠然と弁護士を目指していました。現在で言えば、日曜夜9時からTBSで放映されていた「99.9」で松本潤が演じていた、あの弁護士です。実は以前の職場で弁護士の方と一緒に仕事をする機会があったのですが、実際に仕事ぶりを見る限り、自分には務まらない仕事だったと改めて思いました。

 しかしながら、高校生のころは仕事の実際を知らなかったため、イメージが先行して志望していたことになります。みなさんも3学期は多くの進路行事で大変だったと思いますが、実際に職場や大学等を見たり、仕事を体験したり、就職活動を経験した先輩の話が聞けたりというのは、とても恵まれた環境であると思います。

 これから春休みを迎えます。部活動などで忙しい人も多いと思いますが、気になる進路先があれば、企業であれ、大学等であれ、まずは本校の進路指導室を訪ねてください。実際に見学する際に必要となる、様々な情報を得ることができると思います。

 それでは、春休み中、くれぐれも、事故等には気を付けてください。全員揃って、4月9日の始業式で再会しましょう。以上で校長講話を終わります。

租税教室 校長あいさつ

 みなさん、おはようございます。

 本日は、「租税教室」ということですが、「租税」とは税金のことです。皆さんは、「税金」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか。

 現在、消費税は8%ですので、皆さんも何かお店でものを購入する度に、いくらかの税金を負担しているのではないかと思います。

 また、皆さんの中には、学校の許可をもらってアルバイトをしている人もいると思いますが、働いて得た賃金の中から、「源泉徴収」という形で、税金を納めている人もいるのかなと思います。

 さて、唐突ですが、みなさんは、我が国の国家予算、いくらぐらいあるかご存知でしょうか。

 報道によりますと、2018年の一般会計総額は97兆7128億円、そのおよそ6割にあたる59兆790億円が、皆さんが負担している「税収」によるものとされています。

 それでは、埼玉県はどうでしょうか。

 県のホームページによりますと、平成30年度の一般会計総額は、1兆8657億円、そのおよそ4割にあたる7590億円が、県税によるものとされています。

 参考までに、本校がある三郷市は、どのようになっているでしょうか。

 市のホームページによりますと、平成29年度の一般会計総額は459億円、そのおよそ4割5分にあたる209億円が、市税によるものとされています。

 国が59兆790億円、県が7590億円、市が209億円。私たちが負担している税収は、とても大きな額です。では、これらのお金の使い道は、だれが決めているのでしょうか。

 お金の使い道、つまり歳出の案は、それぞれの自治体が作成しますが、その案について審議し、実際に決定する仕事は、それぞれの議員の方々が行っています。国なら国会議員、県なら県議会議員、市なら市議会議員です。議員の方々は、それぞれの選挙で選ばれています。つまり、税収は私たちが負担した私たちのお金であるので、私たちが選んだ、私たちの代表であるそれぞれの議員の方々が、その使い道を、責任を持って決めているのです。

 本日は、租税教室の講師として、越谷税務署の桝谷明生様、宮崎恵様にお越しいただきました。租税に係る様々なお話を伺うとともに、これから主権者となり、大切な税金の使い道を決める議員を選ぶ、選挙に係る心構えなども含め、御指導賜りたいと思います。

 それでは桝谷様、宮崎様、どうぞよろしくお願いいたします。

第31回卒業証書授与式 校長式辞

 多くの知識や技能を修得し、楽しかった思い出をたくさん携えて、卒業生がいよいよ栄光の学舎から巣立つ今日の佳き日に、三郷市教育委員会 沼宮内美香子様、三郷市立立花小学校長 三田博様、本校PTA・後援会会長 菊地智代美様をはじめ、多くの御来賓の皆様の御臨席を賜り、埼玉県立三郷工業技術高等学校第31回卒業証書授与式を、盛大かつ厳粛に挙行できますことは、本校にとりまして大きな喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与した185名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。所定の課程を修めて、本日こうしてご卒業の日を迎えられたことに対して、心からお慶び申し上げます。

 みなさんは、「正確に はやく 美しく」の校訓のもと、「健康で健全な技術者を育成する」という教育目標に沿って、日々の学習や学校行事、部活動に取り組むとともに、工業高校ならではの資格取得に、かけがえのない青春時代を充実させるべく取り組んできました。皆さんの努力により、今年度も埼玉県高校生専門資格等取得による県知事表彰者は116名となり、全国工業高等学校長協会からジュニアマイスターの称号を与えられた者も38名に達しました。卒業生の皆さんの多くが、本校を志願される際、志望動機の一つに資格取得を挙げたのではないかと思います。3年後、実際に資格を取得し、表彰を受けるというのは、とても大変なことです。表彰された皆さんをはじめ、3年間で多くの資格を取得された皆さんに、改めて敬意を表したいと思います。

 私は、昨年4月に本校に着任しましたので、卒業生の皆さんは、初めから最上級生でした。本校生徒の第一印象は、「きちんとしている」「しっかりしている」というものでしたが、これは最上級生である卒業生の皆さんの姿勢が大きく影響していたのではないかと思います。現在の落ち着いた本校の校風は、まさに卒業生の皆さんにつくっていただいたものと感謝しております。

 さて、これから皆さんは、新しい世界へと旅立っていきます。そこはすべてが順風満帆というわけではなく、幾多の試練が待ち構えていることと思います。卒業という門出にあたり、卒業生の皆さんに、アップル社の共同設立者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏と、スペースXやテスラの共同設立者であるイーロン・マスク氏のことばを贈りたいと思います。

 スティーブ・ジョブズ氏は残念ながら2011年に亡くなっていますが、多くの名言を残しています。その中の一つに、こんな趣旨のことばがあります。

 「根気強さは本当に大切だ。あきらめざるを得ない状況になるまで、自分から身を引いちゃだめだ。」

 また、イーロン・マスク氏は現在46歳で、宇宙輸送や電気自動車の会社を起業するなど、世界中の注目を集めています。彼にも、こんな趣旨のことばがあります。

 「成功する起業家と失敗する起業家を分ける要素の半分は、純粋に忍耐力であると確信している。」

 二人のことばには共通するところがあると思います。なぜこの二つのことばを選んだのかというと、実はつい先日、皆さんの中の一人と就職のための面接練習を行ったのですが、「長所」について尋ねたところ、その生徒が「粘り強いところ、忍耐力です。」と答えていたのを思い出したからです。この生徒は、本校における3年間の学びを修めた結果、スティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏の境地にまで達していたことになります。頼もしいと感じました。

 進学を選択した皆さんも、やがては何らかの職に就くことになります。就職内定している皆さんはなおさらですが、およそ就職活動の世界では、新卒、つまり、その学校を卒業するタイミングが、最も条件がよいと言われています。「短気は損気」ということわざもあります。スティーブ・ジョブズ氏、イーロン・マスク氏とともに、「根気強さ」「忍耐力」ということばが重要であるということを忘れずに、新しいステージで活躍されることを願っております。

 次に、保護者の皆様に申し上げます。本日はお子様の晴れの卒業式、誠におめでとうございます。3年前の入学式では、中学生の面影のあったお子様は、かくも立派に成長されました。いよいよ本日をもって、お預かりした大切なお子様をお手元にお返しいたします。私たち教職員は、皆さまと手を携えて、お子様の教育に誠心誠意、全力で取り組んでまいりました。今日まで本校に賜りました保護者の皆様のご理解とご協力に対しまして、心より感謝申し上げます。

 結びに、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、本校に対し今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

 

平成30年3月13日

埼玉県立三郷工業技術高等学校長

山本 康義

技術を手に、世界を変える旅に出かけよう!

 卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。

 思い起こせば3年前、まだ中学生の面影を残しながら参列したお子様の入学式から、今日の晴れの日を迎えるまでのおよそ千日間、保護者の皆様におかれましては、学校におけるお子様の様子を気に掛ける日々の連続であったと拝察いたします。卒業式という晴れの舞台をぜひお見守り下さい。

 卒業生の皆様に申し上げます。3年間の努力が実り、今日の卒業式を迎えることができました。3年間の高校生活を全うし、卒業証書を手にするということは、簡単にできることではありません。充実感、達成感を感じるとともに、大きく安堵されていることと思います。

 高校3年間の学校生活を振り返り、一番の思い出は何だったでしょうか。また、いま改めて振り返ってみて、本校で学んだことについて、よかったと思っていただけたでしょうか。

 3学期始業式の校長講話では、本校の卒業生の活躍について触れました。テレビ東京の番組で取り上げられたサッカー元日本代表の中澤裕二さん、同級生の増田智弘さんは、皆さんにとっても、とてもまぶしい存在の先輩なのではないかと思います。特に、テレビで見た中澤さんからは、母校を愛する気持ちが伝わってきて、うれしくなりました。また、箱根駅伝で城西大学のアンカーを務めた荻久保寛也さんは、卒業生の皆さんが1年生の時の3年生でしたが、たくさんの報道に取り上げられて、とてもビッグな存在となった印象があります。

 卒業生の皆さん、今度は皆さんの番です。特に有名になることが目的ではありません。自らの選んだ道でしっかりと居場所を確保し、自信を持って、後輩たちに背中を見せていただければ十分です。ご活躍を期待しております。

 さて、卒業生の皆さんが学年末考査を終えた1月31日、体育館で、全国ジュニアマイスター表彰と、高校生資格等表彰制度埼玉県知事表彰受賞者の記念撮影がありました。みな自信に満ちた表情をしていたのが印象的でした。本校では以前から、資格取得には熱心に取り組んでおりますので、卒業生の皆さんが中学生のときに見た本校の学校案内のパンフレットにも、同様の先輩の写真があったのではないかと思います。

 何事にも言えることですが、自ら「やる」と宣言したことを、実際にやってみせるというのは、難しいものです。今年は合わせて153名とのことですが、多くの皆さんが、本校を志願される際、志望動機の一つに資格取得を挙げたのではないかと思います。3年後、実際に資格を取得し、表彰を受けて今度は自分が笑顔で写真に納まるというのは、考えてみれば、とても大変なことです。受賞された皆さんをはじめ、3年間で多くの資格を取得された皆さんに、改めて敬意を表したいと思います。

 資格は皆さんを裏切りません。みなさんは、ある特定の分野で、「自分はできる」ということを証明したことになります。一つのことをやり遂げることができる人は、他の仕事も任せてもらえるようになります。社会とはそういうものです。皆さんは、ライセンス・ホルダーです。卒業した後も、自信を持って、新しいことに挑戦していただきたいと思います。
 最後に、卒業生の皆さんに、「航空工学の父」と称されるセオドア・フォン・カルマンという人のことばを贈ります。夏季休業登校日の校長講話で紹介したことばですが、よいことばだと思いますので、もう一度贈ります。

 「科学者はあるがままの世界を研究し、工学者は見たこともない世界を創造する」

 科学者は、世界を知ろうとするようですが、工学者は、自らの技術で、世界を変えようとするのだそうです。皆さんは、工業高校である本校で「工学」を勉強し、技術を習得しました。いよいよ卒業です。「世界を変える」ため、仕事に、学業に、取り組んでいただきたいと思います。

 結びに、菊地智代美PTA・後援会会長様をはじめ、特に卒業生のPTA理事様、会員の皆様には、空調設備の設置・稼働という、本校の歴史に残る大事業を円滑に進めていただくなど、3年間にわたって本校を支えていただきました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。今後とも、本校の応援団として、お力添えを頂戴できると幸いでございます。

(PTA広報誌『さきがけ』第80号より)