日誌

2019年3月の記事一覧

修了式 校長講話

 みなさん、おはようございます。平成30年度の修了式を迎えました。進級が決まった皆さんは、次の学年に向けて、決意を新たにしていることと思います。

 さて、先週は、それぞれの学年で、進路指導に係る学校行事が行われました。

 1年生は、14日に体育館でパネルディスカッションを聞いて、教室で「マイストレングスカード」を用いたワークに取り組みました。15日には、それぞれの希望に分かれて、職業体験授業と職業説明会を受講してもらいました。

 2年生は、14日に面接の基本指導のほか、就職希望者は文章の書き方、進学希望者は大学や専門学校の学校案内をそれぞれ受講してもらいました。15日には「企業見学会」ということで、県内の企業を中心に40社に分かれ、見学していただきました。

 それぞれの進路行事を体験した、皆さんの手ごたえはいかがだったでしょうか。

 校長先生は校務の都合もあり、今回はあまり見学することができませんでしたが、1年生の体育館で行われたパネルディスカッションは、直接聞くことができました。

 司会進行を務める方のほか、大学短大、専門学校、公務員・就職の担当者を外部からお招きし、座談会の形式でわかりやすい内容となっていました。中でも大学を担当されている方が、「社会が『大学生』に求める水準の人材を育成している」と話されていたところが大変印象に残りました。専門学校担当の方も、同様のお話をされていました。

 高校卒業後、どのような上級学校に進学したとしても、やがてはみな就職する。この当たり前の事実に、改めて気づかされた思いがいたしました。今年の卒業生も素晴らしい成果を残しており、県内に事業所を持つ企業から86名、東証一部などのいわゆる上場企業から27名が内定をいただきました。みな素晴らしい会社から内定をいただいています。進学を希望される皆さんは、高校卒業後のこうした状況を踏まえた上で、自分の夢をかなえるために進学するということになります。

 例えば、「学校の教員になりたい」という夢をかなえるためには、教員免許の取得が必要になり、大学へ進学する必要が出てきます。大学短大・専門学校とも、それ相応の学費がかかりますので、目的意識を明確に持つことが求められると思います。

 公務員・就職担当の方からは、「進学と就職の最も大きな違いは、進学はお金を払うが、就職はお金がもらえる点だ」という趣旨のお話がありました。仮に大学は4年間です。同じ4年間、進学すると学費を払い続け、就職すると給料をもらい続けることになります。こうした基本的な違いも、早い段階で押さえておく必要があります。

 ところで、今年の卒業生は11名が大学に進学しましたが、そのうち指定校推薦を利用した生徒はわずかに2名でした。進学を考えている皆さんは、ぜひ指定校推薦を検討してください。身近にあるチャンスにしっかり気づくことが大切であると思います。

 進学にせよ、就職にせよ、学校の成績を上げておくことがとても重要です。特に1年生から大学入試のルールが変わります。例えば希望する大学によっては、英語検定などの外部の資格を取得しておくことが必要になります。春休みも遊んでいる余裕はありません。基礎力診断テストも4月早々にありますので、学校の課題に取り組むなど、しっかり勉強に励んでいただきたいと思います。

 それでは4月、元気に始業式でお会いしましょう。以上で校長講話を終わります。

JICA 国際協力出前講座 校長挨拶及び講師紹介

 皆さん、おはようございます。

 先週末の卒業式では、円滑な式の進行にご協力いただきありがとうございました。おかげさまで、来賓の皆様からも「よい卒業式だった」とのお褒めのことばをいただくことができました。

 さて、本日は「JICA 国際協力出前講座」ということでお集まりいただきました。 みなさんは、「国際協力」ということについて、どのような関心をお持ちでしょうか。

 2年生の皆さんの中には、平成29年11月に本校を訪れた、台湾の国立羅東高級工業職業学校の皆さんとの交流事業に参加した方もいらっしゃると思います。本校に居ながらにして外国の生徒と交流ができる貴重な機会だったと思います。

 また、同じく平成29年度のことでしたが、機械研究部の全国大会の応援で、栃木県のツインリンクもてぎに行ったとき、やはり後輩の応援に駆けつけてくれた本校の卒業生と話をしました。彼は、現在勤めている仕事の関係で中国の天津に赴任していて、たまたま休暇で帰国していたので、後輩の応援に来た、とのことでした。本校の卒業生の中にも、海外勤務を経験しているOBがいることを知りました。

 実は、本日の出前講座は、埼玉県が主催する「持続可能な社会を生きるグローバル人材育成事業」の一環として行われます。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、地球規模の視野と課題意識を持ち、国際貢献意識やボランティアマインドの醸成を図ることをそのねらいとしています。

 本日は講師として、酒井学(さかい・まなぶ)様にお越しいただきました。

 それでは、酒井様の紹介をさせていただきます。

 酒井様はJICA、国際協力機構のシニア海外ボランティアとして活躍されています。派遣国はメキシコで、派遣期間は2015年10月から2017年10月まで約2年間、職種はTV設計エンジニアと伺っております。ホームページを拝見しましたが、受け入れ先はメキシコ州の教育省で、2年間で5つの大学に赴任され、学生に講義を行ったり、近くの企業で品質管理や生産性向上に係る指導を行ったりする活動をされたということです。

 本日は、メキシコでの貴重なご体験を中心に、皆さんの視野が広がり課題意識が高まるとともに、国際貢献意識やボランティアマインドが高まるようなお話を頂戴できるのではないかと期待しております。

 それでは酒井様、よろしくお願いいたします。

第32回卒業証書授与式 式辞

 永い冬も終わろうとしています。柔らかな春の日差しが感じられる季節となりました。この春の佳き日に、埼玉県議会議員 山下勝矢様、同じく埼玉県議会議員 美田宗亮様、三郷市教育委員会 中三川真弓様、本校PTA・後援会会長 寺﨑明子様をはじめ、多くの御来賓の皆様の御臨席を賜り、埼玉県立三郷工業技術高等学校第32回卒業証書授与式を、盛大かつ厳粛に挙行できますことは、本校にとりまして大きな喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与した211名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。所定の課程を修めて、本日こうして御卒業の日を迎えられたことに対して、心からお慶び申し上げます。

 みなさんは、「正確に はやく 美しく」の校訓のもと、「健康で健全な技術者を育成する」という教育目標に沿って、日々の学習や学校行事、部活動に取り組むとともに、工業高校ならではの資格取得に、かけがえのない青春時代を充実させるべく取り組んでまいりました。皆さんの努力により、今年度も埼玉県高校生専門資格等取得による県知事表彰者は133名となり、全国工業高等学校長協会からジュニアマイスターの称号を与えられた者も64名に達しました。表彰された皆さんをはじめ、3年間で多くの資格を取得された皆さんに、改めて敬意を表したいと思います。

 私は平成29年の4月に着任しましたので、卒業生の皆さんとは2年間、学校生活をともに過ごさせていただきました。沖縄の修学旅行のときから、この学年はしっかりしているという感想を持っていましたが、3年生になってからの活躍も目を見張るものがありました。全国大会で活躍した無線部、電子技術部、機械研究部、電子計算機部の皆さんをはじめ、どの部活動においても、輝かしい成果を収めてくれました。また、10月のたくみ祭では、体育館の大規模改修という「ピンチ」を、屋外ステージの設営と放送部による全館実況中継というアイデアで会場全体が盛り上がるという「チャンス」に転じてくれました。現在の落ち着いた中にも楽しさが溢れる本校の校風は、まさに卒業生の皆さんのリーダーシップによってつくっていただいたものと感謝しております。

 さて、これから皆さんは、新しい世界へと旅立っていきます。そこはすべてが順風満帆というわけではなく、幾多の試練が待ち構えていることと思います。卒業という門出にあたり、卒業生の皆さんに、本校の卒業生で、今年現役引退を発表したサッカー元日本代表の中澤佑二氏の著書『自分を動かす言葉』から、ことばを贈りたいと思います。

 少し長いのですが、引用したいと思います。

 「多くの人が、僕にも『お前には無理だよ』と言った。彼らは、君に成功してほしくないんだ。なぜなら、彼らは成功できなかったから。途中であきらめてしまったから。だから、君にもその夢をあきらめてほしいんだよ。不幸な人は不幸な人を友だちにしたいんだよ。決してあきらめては駄目だ。自分のまわりをエネルギーであふれたしっかりした考え方を持っている人で固めなさい。自分のまわりをプラス思考の人で固めなさい。」

 マジック・ジョンソンという、元NBAのバスケットボールプレイヤーのことばだということです。中澤氏は著書の中で、「このことばに自分の過去を見た」と語っています。

 皆さんもご存じのとおり、中澤氏は平成8年3月に本校を卒業後、単身ブラジルに渡り、帰国後本校のグラウンドで練習し、ヴェルディ川崎の練習生からスタートしてプロになり、日本代表としてワールドカップに出場するなど、輝かしい実績を残しています。本校在学中から、グラウンドを見つめる彼のまなざしには、ブラジルを経てプロのサッカー選手になり、ワールドカップに出場するという夢が見えていたということになります。

 さて、中澤氏にとってのブラジルは、卒業生の皆さんにとっては、それぞれの進学先や就職先ということになります。中澤氏がそうであったように、皆さんにも、その先の「夢」の形が、はっきりと見えていることと思います。

 中澤氏はこの著書の中で、自身が出会って力となった多くのことばを紹介していますが、私がこのマジック・ジョンソンのことばを選んだのは、「夢」を実現するためには、一人になること、孤独になることを恐れるな、という思いを伝えたいと思ったからです。「自分のまわりをプラス思考の人で固めなさい」というメッセージはとても重要です。皆さんはこれから、多くの人と出会うと思います。自分の「夢」を実現するという志をしっかり持って、時には孤独を受け入れたとしても、大切な人々との出会いを自分のものにしていただきたいと思います。

 次に、保護者の皆様に申し上げます。本日はお子様の晴れの卒業式、誠におめでとうございます。3年前の入学式では、中学生の面影のあったお子様は、かくも立派に成長されました。いよいよ本日をもって、お預かりした大切なお子様をお手元にお返しいたします。私たち教職員は、皆さまと手を携えて、お子様の教育に誠心誠意、全力で取り組んでまいりました。今日まで本校に賜りました保護者の皆様のご理解とご協力に対しまして、心より感謝申し上げます。

 結びに、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、本校に対し今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

PTA広報誌『さきがけ』第83号 校長あいさつ

 3年生の皆さん、そして3年生の保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。

 1月の中下旬には、3年間の工業高校における学びの集大成とも言える「課題研究発表会」が各科で催されました。

 18日の電気科の発表会では、イライラ棒や電車に関するものづくりのほか、自然エネルギーや微生物電池を利用した発電への取組が目を引きました。また、バッテリーカーの製作は、EVの普及という時代背景を反映した取組として注目を集めました。

 21日の情報電子科の発表会では、学校紹介PV制作班による「工業戦隊5科連ジャー」をモチーフとした動画制作のほか、DTP班による運動部冊子や文化祭パンフレット等の取組も質の高さを感じさせてくれました。

 24日の機械科・電子機械科の発表会では、機械科のボルトマンや電子機械科のドローンのほか、全国大会に参加した電子機械科の航空力学やLEGOなど、アクティブな取組も見られました。

 28日の情報技術科の発表会では、あえてパソコンを使わないという斬新な発想のイス製作のほか、シューティングゲームの作成では、完成度の高い作品に仕上げていました。

 前号の『さきがけ』第82号でも報告したとおり、今年度は特に工業系の部活動が各種全国大会等で優秀な成績を収めており、総じて中心となった3年生個々の高い技術力が反映された、素晴らしい発表会であったと思います。3年生の皆さんは、本校における「卒業研究」ともいうべきこの課題研究の成果をスタートラインとして、今後は、自らが選択した大学や専門学校、企業において、さらに技術を磨くとともに、高い成果を追求していただきたいと思います。

 ところで、2月6日付埼玉新聞にも掲載されましたが、4日(月)に、県の事業「学校地域WINWINプロジェクト」の一環として、越谷市のCSリレーションズの増田社長による1年生を対象とした講演会がありました。これから社会に出る3年生にも聞かせたい内容がたくさんありましたので、3年生へのはなむけの気持ちも込めて、いくつか紹介したいと思います。

 一つは、「大学生は遊ぶと聞いている。だから就職する自分は、この4年間懸命に働いて大卒に差をつける」という趣旨のことばです。増田氏は高校卒業後就職し、23歳で起業、26歳で再度起業し、現在の会社を立ち上げたということです。期限を切って全力で努力する、というところは、本校の卒業生で、今年現役引退を発表したサッカー元日本代表の中沢佑二選手にも通じるところがあると思います。中沢選手もその著書によりますと、高校卒業後ブラジルに留学し、22歳までにプロになると宣言して、親の理解を得たとありました。社会に出る皆さんにも、期限を切って全力を尽くすというスタンスをお勧めします。また、上級学校へ進む皆さんは、こうした気持ちを持って先に社会で活躍している同級生がいることを忘れずに、学業で成果を挙げていただきたいと思います。

 もう一つは、新聞にも掲載されましたが、「つまらない仕事はない。自分がつまらなくしている」ということばです。

 「仕事」とは、「人の役に立つこと」ですから、自分の好き・嫌いで選んで取り組むものではありません。多くの場合「やらなければならないこと」として、それぞれの前に現れるのだと思います。これにどう取り組むか。まず、目の前の仕事をどう捉えるか。ネガティブな感情が先に立ってしまうと、仕事がつまらないものになってしまいます。旺盛な好奇心を武器に、どう取り組んだら楽しく仕事ができるか、常に考える姿勢を持ちたいものです。

 3年生の皆さん。皆さんが実現したい「夢」は何でしょうか。この「卒業」という機会に、一度ことばにして、宣言してみてはいかがでしょうか。日本では古来「言霊」といって、ことばには魂が宿ると信じられてきました。「ことばにすると実現する」科学的根拠は乏しいのですが、往々にしてこうしたことはあるように思います。3年生の皆さんも、ぜひ、夢はことばにしてみてください。皆さんの成功を祈っています。

 結びに、寺崎明子PTA・後援会会長様をはじめ、特に卒業生のPTA理事様、会員の皆様には、昨年の各種研修会における発表のほか、3年間にわたって本校を支えてくださいましてありがとうございました。今後とも、本校の応援団として、お力添えを頂戴できると幸いでございます。

生徒会誌『ゆりのき』第31回 校長あいさつ

 『ゆりのき』第31回の発行、おめでとうございます。
 平成とともに発行回数を重ね、いよいよ平成最後の回となりました。

 さて、1月には、それぞれの学科で、課題研究発表会が開催されました。一通り拝見しましたが、どの学科も創意工夫に溢れた、素晴らしい発表会だったと思います。

 課題研究と言えば、今年度の本校の学校案内は、昨年度の情報電子科の課題研究で作成していただいたものでした。表紙の中央には、「Be creative!」のカラフルな文字が躍っています。「創造的であれ!」という意味だろうと思います。

 今年の情報電子科の課題研究では、外部講師の早川貴泰氏が講評を務められ、「『クリエイティブ』とは、新しいことに取り組むことだ」というお話をされました。

 この「クリエイティブ」という観点で平成30年度を振り返りますと、様々な場面で、果敢に「新しいこと」に挑戦する生徒の姿が見られました。

 第32回たくみ祭は10月27日(土)に一般公開が行われましたが、体育館の大規模改修という「ピンチ」を、新しい試みで屋外ステージを新設し、放送部が全館放送を行って校内全体を盛り上げるという「チャンス」に変えてくれました。1年1組は、初めてジェットコースターに挑戦し、安全第一で運行してくれました。

 文化部の活動も目を引きました。無線部、電子計算機部、機械研究部、電子技術部は全国大会に出場し、それぞれ優勝、5位、10位、16位など成果を挙げてくれました。中でもライントレースカーを得意とする電子技術部は、新たに取り組んだロボット相撲で見事、全国大会への出場を果たしました。

 合唱部はJCOMの取材で見せたダンスをはじめ、彦成中バザーで披露したギターの弾き語り、たくみ祭におけるミュージカル、年末の第九演奏会への参加と、次々と新しいことに取り組み、活動の場を広げてくれました。

 運動部も県大会常連の剣道部を筆頭に、ハンドボール部、硬式テニス部、陸上競技部、ラグビー部が県大会へ駒を進めてくれました。陸上部は新たに投擲への挑戦を始めました。今後の成果に大いに期待しています。

 新しいことに挑戦する生徒には、その生徒の挑戦を支え、支援する教職員がいます。変化が激しく、今後を見通すことが困難な時代だからこそ、日ごろから新しいことに挑戦する「クリエイティブ」な姿勢を、しっかりと身に付けていきたいと思います。